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桜Trick 第6話

「文化祭だよ☆お泊まりです♥ 文化祭だよ☆本番です!」

~少女達の成長と未成熟性の対比~

桜Trickは「キス」というストレートな同性愛要素を含む日常系アニメでした。しかしそれほど雰囲気的に重くならず、全体的にコメディ要素、日常系の要素が強い作品でした。特にメインカップルの遥ちゃん&優ちゃんのコンビはやきもちを妬いたり妬かれたりしながらも、基本的にはコミカルです。

 

それよりもむしろ、切なくてちょっと重くてラブリーな味を出してくれていたのが、サブキャラのコトネちゃんとしずくちゃんの2人。この2人はお互い特別な感情を持っていて、裏設定では既に同棲しているというかなりアレな感じです。でもよく見てみると、コトネちゃんのキャラ設定というか描き方が結構面白いんです。将来を約束され、いいなづけさえ親に決められているお嬢様キャラなのに、鼻につく感じは全くなくむしろその明るさと調子の良さで飄々としています。ですが、実は一番周りを気遣って助けているのは彼女なような気がします。で、それに唯一気づいていて、その魅力にキュンキュン惹かれちゃってるのが、おとなしい系のしずくちゃん。彼女もまた大人しいながらも強い気持ちを持っていて、自分に対する自信のなさとは裏腹に、その強い感情や将来への不安を強く感じて生きているようです。

そんな風に惹かれ合う2人。見ていてとっても切なくてラブリーです。

 

で、第6話。学園祭前の屋上で、語り合う2人。将来の不安と変わりゆく自分自身、時間への不安とモラトリアム意識、高校生という刹那的な青春、そんな色々が屋上のシーンにはたくさん詰まっていました。かといってベタベタさせる訳でもなく、背中越しとはいえ対等に2人を向きあわせて話をさせるのは、素晴らしく良い演出です。この瞬間に、この2人は子供から大人へと成長している気がします。

 

さて、その後Bパートで描かれるメインの遥ちゃんと優ちゃんのシーンは、良くも悪くも「子供」です。この2人はナチュラルに高校生であって、コトネちゃん達のように大人びたところはありませんが、その分ピュアで、本能に任せてお互いを求め合っているようで、とにかく危険な雰囲気です。自分たちが何をやっているのか、ということさえわかっていないような未成熟感が、その裏のバンド演奏と重なって浮かび上がってくる、そんなシーンでした。文化祭のライティングをバックに足だけを移したり、そういうのも視聴者側の想像力を刺激する感じですね。

 

まるで遊んでいるかのようにたくさんのキスを交わす遥&優がとても子供っぽくて、ほとんどキスをしないコトネ&しずくのほうが大人であるというのは、ある意味とてもうまい設定だと思います。

 

コンテ : 小俣真一さん (さんかれあ、まどか☆マギカ、ひだまりスケッチ 他)

演出 : 村田尚樹さん (ローゼンメイデン、ひだまりスケッチ 他)

 

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