top of page

R.O.D. -the TV-

第6話 「ライトスタッフ」

  背景と音楽に語らせる、という演出

ライトスタッフ(The Right Stuff )、というのは1973年のトム・ウルフの小説であり、1983年のアメリカ映画のタイトルです。最近ではアニメのDVD/Blu-rayやグッズを扱っている海外の優良通販サイトの名前でもあります。

 

さて、R.O.D. the TVの第6話。

このシリーズ自体、原作+OVAのアフターストーリー的な位置づけになっているようですね。美人3姉妹がハードボイルドな活劇を繰り広げるというのは、キャッツアイによく似ています。

 

「本」をベースに物語をつくり、「紙使い」という魔法を駆使していながら、3姉妹の末っ子であるアニタ・キングは「本が嫌い」という設定になっていました。第6話ではそのアニタちゃんが、学校で「読書感想文」の宿題をもらうというお話。で、友達の久美ちゃんに進められて、居候先である作家の菫川ねねね先生の本を読んで感想文を書くという流れです。後半アニタちゃんが家路から帰宅して牛乳を飲んで、自室に行くまでになんとなく本を手にとって・・・・・・みたいなシークエンス、セリフ無しの映像美と音楽が、とてもとても美しい回です。

 

テレンス・マリックという監督が取った1978年の映画に「天国の日々」(Days of Heaven)というのがありますが、それにも通じる雰囲気の美しさだと思います。秀逸なのは「読書」という行為に対する静かな面白さ、感動、本との出会いや驚き、のようなものが一つのセリフもなく完璧に表現されていることでしょう。

 

そしてラスト、アニタちゃんが教室で読書感想文を読み上げるシーン。読み始めると同時にフェードアウトして終了。これにはしびれました。一番大切というか聞きたいところを敢えて見せない、いや見せる必要がないというか、そんな演出でした。「視聴者の涙をギリギリのとことで止める」みたいな、渡辺信一郎監督の発言が思い出されます。こういう余韻をもたせる演出は本当にうまいと思います。

 

 

機会があれば是非。

 

演出     :  森脇真琴さん (プリパラ、ミルキィホームズ、ジュエルペット 他)

コンテ : 橘秀樹さん (selector infeced WIXOSS、ひぐらしのなく頃に 他)

音楽  : 岩崎琢さん (ヨルムンガンド、C、ロミオの青い空 他)

 

bottom of page