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 幸腹グラフィティ

よんしなめ 「じんわり、バリリッ。」

 

料理という名の実践哲学

幸腹グラフィティは、料理を題材としたグルメアニメの作品です。元々はまんがタイムきららの4コマが原作だとか。原作を読んだことはないのでよくわかりませんが、「食べる」という描写に定評があるらしいですね。さて、このアニメは結構すごいことを描いています。なぜなら、「料理」ということを通して他人のことを想うとか、大事にするってことがとてもうまく描かれていると思うからです。

 

個人的に、料理がうまい人は、人を愛することがうまい人だと思っています。(*逆に料理が下手だからといって恋愛下手と言うことにはならないと思いますが)

 

食べるということは生きるということであり、誰かと食事をすることはその人と一緒に生きることです。誰かのために食べ物を作ることは、その人を生かすことです。

 

料理って、誰かのためを思って作って手間ヒマかけても、最初は失敗したりして、でも経験を踏んでいくと慣れてきて簡単にできるようになりますよね。それは最初から誰にでもできることでもなく、恐らく基礎的なことは才能でも感覚でもなく、ただ自分を含めた誰かのためを思えばこそ努力して、時間も手間もかけて上達して、人を幸せにできるものだと思います。

 

それって、恋愛にすごく似ていませんか?

 

という訳で、「愛」についてどれだけ力説するよりも、美味しい料理が作れるっていうほうが説得力がありそうです。そんなことをこのアニメは言っているように思います。

 

このアニメの主人公リョウと親戚筋のきりんちゃん、お互いに直接的な表現はないものの、ものすごく相思相愛で切なくなるくらいです。お互いのことを知り始め、美味しい食事を共有することで一緒に生きていくってことを重ね、時にはお互いに知らない部分があることに気づいて切なくなったりして、でも結局リョウの料理で仲直りしたり。

 

そして第4話。

この回はほぼ全体が「リョウの独白」で終わります。しかしきりんちゃんの不在によって逆にその存在感を際立たせ、かつお互いの中での存在の大きさを描き出すというかなり高度な演出がありました。しかも、後半ではリョウが大好きだった料理上手のおばあちゃんが、実はリョウのために必死に料理を勉強したり、健康を気遣ってアレンジしたりしていたことを知ります。それに刺激されて、またリョウも大切なきりんちゃんの為に何かを作りたい、という思いからちょっと切ない気分を立て直すというお話でした。

 

それだけなのに、やっぱり誰かの為に何かをしよう、とかそれが料理という題材であることから、すごく暖かくて良い内容になっている訳です。

 

メールを送るとかそういうことではなく、やっぱり相手を幸せにするってことには、それなりの手間ヒマがかかるようです。だから料理とは、実践哲学だと思う訳です。

 

このアニメではその相手が誰か、というところに同性愛的な要素が暗示されることも興味深いです。しかしそれは暗示であって、リョウときりんちゃんにその要素があるかどうかは描かれていません。しかし別にそうでなくても、お互いのことを大切に想うという気持ちは、LGBTやストレートに関わらず大切な感情だと思う訳です。

この場合、ジャンルが百合かどうかは関係なく、単純にそれは見ていて可愛いキャラであれば良いと思うのです。

 

 

 

総監督:新房昭之さん (魔法少女まどか☆マギカ 他多数)

監督:龍輪直征さん (まりあ†ほりっく、さよなら絶望先生、ニセコイ  他)

脚本:岡田麿里さん (花咲くいろは、あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 他)

コンテ:川畑喬さん (魔法少女まどか☆マギカ、物語シリーズ  他)

演出:大谷肇さん (NEEDLESS 他)

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